「君の名は。」
2016年8月26日公開。
上映時間は1時間46分。
新海誠監督の長編アニメーション作品。
主題歌ほか全ての楽曲をRADWIMPSが担当。
【予告】
「朝、目が覚めると、なぜか泣いている。」
「そういうことが、時々ある。」
「見ていたはずの夢は、いつも思い出せない。」
(本作の台詞より抜粋。中省略)
そんな男女の台詞とともに、美しい彗星が夜空を横切っていくオープニング。
もう、最初から、グッとつかまれました。
なんて残るフレーズなんでしょう!
朝起きて、なぜか涙が出てること、あるある!ありますとも!
そういうときに限って、考えれば考えるほど、目が覚めちゃって。
で、結局、見てたはずの夢の方がぼんやりしてきて、忘れちゃうんですよね。
しばらく布団の中で、うーんナンダッケと思ってても、
何かの拍子に、ぱっと現実の頭になると、結構どうでもよくなっちゃって、
起きて立ち上がったくらいには、もう何も覚えてない、みたいな。
でも、この映画は違うんですよね。
布団の中のナンダッケを、必死に思い出そうとして、
数秒前に流した涙の理由を、忘れないように繋ぎとめる。
そんなお話だと思いました。
そして、RADWIMPSの楽曲とのリンク度合いも素晴らしかった!
どうやら楽曲が出来てから、それに合わせて画を入れていったそうで、
物語の盛り上がりと、曲の盛り上がりが、本当にぴったりでした。
「映画のための音楽」、「音楽に合わせた映画」、
どちらも功を奏していました。さすが。
私は早速サントラをダウンロード購入して聞いております。
★逃避行〜おすすめ連想映画〜★
ここからは、本作を見て、私が連想した映画をおすすめします。
「ウォールフラワー」
スティーブン・チョボスキー監督、原作、脚本作品。
あの頃、まさにあの時でなかったら考えなかったこと。
あの時だから感じられた繊細な感覚や、葛藤の苦しみ。
社会人の私には、胸が締めつけられるような切なさと懐かしさをくれました。
作中で主人公の少年が、学校の先生に、こう尋ねるシーンがあります。
「やさしい人たちは、なぜ間違った相手とデートをするの?」
それは、居場所がなかった少年と初めて友達になってくれた少女が、
彼女を傷つけてばかりいる彼氏と付き合っていることを疑問に思ってのこと。
すると先生はこう答えます。
「それが自分に見合っていると思うから」と。
私はこの台詞が、映画を見た時から、ずっと心にひっかかっていました。
「そうじゃない。自分はそれでしょうがないんだと思わないで。
あなたはもっとよく扱われていい人間なんだと知ってほしい。
そして、そのありのままの自分を受け入れてくれる人と
いつか出会えるはずだと知ってほしい。」
見た後に読んだ映画のパンフレットで、こう答えている監督の言葉を見て、
私は、彼と、この作品がとても好きになりました。
ああ、こういう大人に出会えてよかったと、そう思いました。
「君の名は。」では、美しい景色の描写も話題になっています。
夢の中の涙の理由を、大切に思い出す物語を紡ぐ監督の目には、
世界はきっと、こんな風に美しく映っているんだろうな。
ここにも、ああ、出会えてよかったと思う素敵な大人がいる。
そう思うと、この世界は、悪いことばかりじゃないんだよと、
青春の日々から巣立とうとしている少年少女に言えるような気がして、
私もちょっぴり元気をもらえるのでした。